この記事ではこのような疑問に答えます。
障害者が就職活動する時、障害を持っていることを隠して就職する「クローズ」就労か、障害を持っていることを公開して就職する「オープン」就労かを選択することになります。
今回は私の実体験を取り上げて、障害者が働くのであれば、断然オープン就労がおすすめであることを紹介します。
立花浩紀
統合失調症の当事者の立花浩紀が執筆しています。デイケア・就労移行支援・就労継続支援A型・障害者雇用・クローズ就労など様々な働き方を経験し、現在はフリーランスのWeb制作者として活動しています。Web制作は1999年から始めたベテラン。スキルを生かして統合失調症などの障害者でも自分らしく働くための情報を発信中です!
・クローズ就労で大変だった体験談
・クローズ就労では障害を隠し続けるのが厳しい
・長く働き続けることが一番大切
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クローズで就職したら、9か月しかもたなかった話
私が統合失調症と診断されたのは23歳の頃です。
それ以来しばらく引きこもっていたのですが、実は9ヶ月間だけクローズでアルバイトをしたことがあります。
近所にある100円均一ショップの店員のアルバイトでした。
なぜ、100円ショップでアルバイトを始めたのか? それは100円ショップだったらレジが簡単そうだと考えたからです。
採用面接があったのですが、自分が統合失調症であることは隠しました。
今思えば隠していた、というよりも、話すタイミングがなかった、という方が正解かもしれません。特に職歴のなかった私ですが、アルバイトだったこともあり採用が決定し、100円ショップで働くことになりました。
初出勤日からしばらくの間は、研修期間でした。店内の商品配置を覚えたり、レジの練習などをやっていました。
レジのお仕事は初めてでしたが、予想通り簡単だったこともあり、すんなりとマスターする事ができました。
しかし、店内の商品配置を覚えることは苦手でした。それと接客もかなりキツかったです。特に、
・お客様へ商品のご案内
・大量注文の対応
この2点は本当に苦手でした。「何をしなくちゃいけない」ということは頭ではわかっていたのですが、どうもうまく行動できないという感じでした。
このようになかなか仕事を覚えられなかったため、人間関係にも苦労しました。
先輩スタッフ(女性ばかり)たちからは、あまりいい顔はされていなかったですね。
あからさまに無視される先輩スタッフもいました。
今思えば、仕事がなかなか覚えられなかったのは、統合失調症特有の認知機能障害のせいだったように思います。
そういうわけで、100円ショップのアルバイトは長く続かず、9ヶ月でやめることになりました。
もしオープン就職していたら、どのようなメリットがあるのか
私の100円ショップのアルバイトはクローズでの就労でした。もし障害者がオープンで働いたら、どのようなメリットがあるのでしょうか。
具体的なメリットは勤務先の会社や、利用している福祉サービスによって少し差があります。一般的な例を取り上げると、
・障害に合わせた配慮が受けられる
・定着支援などの支援が受けられる
・通院や服薬していることを隠さなくていい
このようなメリットがあります。どのような配慮を受けられるのかは人それぞれです。
障害者の多くは定期的に通院が必要な方が多いですが、オープンで就労している場合、通院日に合わせた勤務時間の調整がとてもやりやすいです。
また本人にとってどうしても苦手な仕事があったら、必要なサポートを受ける事ができます。
定着支援とは働いている障害者が、同じ職場で働き続ける事ができるように、支援者に職場を訪問してもらって、どのような配慮が必要で長く働き続けるためにはどうしたら良いのか、などを障害者本人の代わりに、職場の上司や人事担当者に伝えてくれるサービスのことです。
定期的に支援者の方に職場に訪問してもらい、働いている障害者のためにサポートをしてくれます。
障害者雇用の問題は、働いている障害者だけでなく、雇用している企業側にも存在します。定着支援というサービスは、障害を持ちながら働いている方と、雇用している企業の両方に対して支援してくれるサービスです。
もし私がオープンで100円ショップのアルバイトをしていたら、仕事の面で必要な配慮を受ける事ができ、また定着支援などの福祉的なサービスを受けて、長く続ける事ができていたかもしれません。
クローズでの就労で一番怖いこと
障害者の中でも、障害の程度が軽い人や、業務において専門的な知識をお持ちの方はクローズで働いているケースも多いです。
実際にネット上でもクローズで働いている精神障害者は結構いらっしゃいます。
周りにいる健常者のスタッフと同じように仕事ができればそれで良さそうですが、気をつけたい事があります。それは自分が障害者である事が上司や同僚にバレる事です。
障害がバレることによって、即解雇ということにはなりませんが、現実問題として、これまで普通の人だと思っていた人が、精神障害者だとわかったら、やっぱり態度が変わる人も少なからずいると思います。
何よりも障害を隠し続けるというのは、それだけでも精神的にきついです。
よほど自分に自信があり、どうしてもその会社でクローズで働きたいのであれば、クローズ就労を選択することになりますが、個人的にはなるべくオープンでの就労をオススメしたいです。
大切なことは長く働き続けること
障害者の多くは健常者と比較しても、できる事が少なかったり、苦手なことが多かったりします。
そのため障害者にとって就職することは本当に難しい課題です。
もし、せっかく就職できたのならなるべく長く働けた方がいいですよね。オープンで就労することで、障害者にとって必要な配慮や福祉的サービスを受けながら長く働く事ができます。
もし読者の中で就職を希望されている障害者の方がいらっしゃいましたら、まずオープンでの就労を検討することをお勧めします!